~家の記憶エッセイ~ 住まいと棲み家とお宅とアジト
住まいにまつわるショートストーリーをお届けします。
日々の、日常の、住まいと家族のこと。
朝のコーヒーを飲みながら、通勤電車の中で、煮物が煮あがる待ち時間、就寝前に。
インテリアやインタビュー記事を執筆しているフリーライターによるコラムです。
寝室でだらだら過ごす至福の1日
好きすぎて論評する気も出ない韓ドラ沼
いつからか韓国ドラマにはまっていた。最初は幼い息子に添い寝しながら、遠慮がちにスマホで視聴。やがてタブレット視聴に格上げし、それから長い年月を経た今では、老眼も進んだので普通にテレビ画面で見ている。
といってもリビングの大画面テレビではなく、寝室のテレビを自分専用に確保して、そこが定位置に。まさに隠れ家、というかアジト状態。ベッドに座ったり寝転んだりして、誰にも邪魔されずにドラマの世界に没入するのは、自分にとって至福の時間だ。ちなみに取材の予習など、仕事の準備もよくベッドでしているから、私が仕事中か趣味中かは誰にもわからない。
ドラマの合間に仕事や家事?
推しの俳優は都度現れても、ファンミーティングに行ったりはしない。その俳優の過去の出演作を追いかけることはあっても、プライベートに興味を持ったりはしない。「この俳優が主演なら当たりだな」とか、「前に見た時はどの役か気づかなかったわ」とか、「この制作会社のは全部見る」とかしていると、次から次に見るべきドラマが出て来て追いつかない。
「今おススメの作品は?」と人に聞かれれば答えるが、感想を発信したいとか、人に力説したい気持ちはない。ドラマを見るのが好きすぎて、脳内を言語化する気も起きないのか自分、と勝手に思っている。だからこれはあまり仕事にしないで、ただただ、ワクワクしながら1人で見ていたい。
そう思っていた矢先に、仕事で珍しく韓国ドラマについて原稿を書く機会があった。ここ3~4年のヒットドラマ50作品ぐらいの一覧表を編集者と見ながら打ち合わせをしていたら、途中で見るのをやめた2、3作品を除いて、ほぼ全部完走していることに気づいてしまった。「めちゃめちゃ見てますね!」と笑いながら言われ、年甲斐もなく赤面する私。マズい。韓ドラを見るスキマ時間に仕事をしたり、家事をしたり、寝たりしているのがバレてしまう。誰に対して秘密なのかはよくわからないが、長年の秘密を知られた気分だ。
~本コラムの筆者プロフィール~
葉山 郁子 (はやま・いくこ)
ライター。小学生時代に4回転校するなど引っ越し好きの母と首都圏を転々とした後、神奈川県寄りの都内に定住。出版社で複数の編集部と雑誌創刊を経験。現在はフリーでエンタテインメント分野の記事を中心に執筆。長男独立後は社会人1年目の次男、大学1年生の三男と夫の4人世帯に加え91歳の母と二世帯同居している。