~家の記憶エッセイ~ 住まいと棲み家とお宅とアジト
住まいにまつわるショートストーリーをお届けします。
日々の、日常の、住まいと家族のこと。
朝のコーヒーを飲みながら、通勤電車の中で、煮物が煮あがる待ち時間、就寝前に。
インテリアやインタビュー記事を執筆しているフリーライターによるコラムです。
夫の定年慰労で夫婦2人旅のはずが
気づけば6名様御一行のNY珍道中に
夫が60歳になり、定年の日を迎えた。実はこの先もあまり変わらない生活が続くのだが、休みをとりやすいタイミングということで、夫婦で旅行に出かけることにした。「定年まで本当にお疲れ様でした、まだ働いて(くれてありがとう)ね」、の慰労旅だ。
長男は独立したし、次男は修士の卒業研究に忙しい。三男は部活オフの日程が見えてきたので旅行に誘う。「えー、親と3人は気が進まないな」と難色を示すので次男にも声をかけると、思ったより早く研究発表が終わって春休みに入れそうだ。
新婚旅行なのに6人の旅
というわけで、夫婦旅のはずが、息子2人を無理やり引き連れた家族旅行に変身した。次男は社会人になるし、三男は体育会で多忙になるので、きっと最後の家族旅行になるだろう。リゾートもいいが、コロナ前から行きたかったニューヨークはどうだろう。私自身、大学生の時にバイト代を貯めて、22歳で初めて行った海外がニューヨークだった。その後は、音楽イベントの取材のために出張で行ったのが最後だから、もう何十年も経っている。これから社会に出て働く息子2人にとって、何かの刺激になるかもしれない。
溜まっていたマイルと航空会社のセールでお得に航空券を入手して、ホテルもタイムセールで確保した。「留守番のおばあちゃんをよろしくね。よかったらご一緒に(笑)」と冗談交じりで長男にメールしたら、「じゃあ新婚旅行でそこ休もうかな」の返信。嫁もニューヨークに行ってみたいと言っているらしい。結果的には、まるで長男の新婚旅行に便乗した親兄弟の様相で、6名様御一行の旅行が決まった。「おばあちゃんをよろしくね」は、近郊に住む私の兄に委ねた。
気候を調べると、どうやら北米は大寒波に覆われているらしい。緑のセントラルパークをサイクリングするどころか、行く前に全員スノーブーツを買う必要がありそうだ。天気予報では、一日の最高気温にマイナスがついている。昼間の気温がマイナス15℃ってどういう感じだろう。大都会なわけだし、行ってみたらそこまで寒くないのでは、という読みが甘かったことは、また次回に。
~本コラムの筆者プロフィール~
葉山 郁子 (はやま・いくこ)
ライター。小学生時代に4回転校するなど引っ越し好きの母と首都圏を転々とした後、神奈川県寄りの都内に定住。出版社で複数の編集部と雑誌創刊を経験。現在はフリーでエンタテインメント分野の記事を中心に執筆。長男独立後は社会人1年目の次男、大学1年生の三男と夫の4人世帯に加え90歳の母と二世帯同居している。