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セカンドハウス①

2025.8.8

家2軒持てたら資本家の仲間入り?
子供たちと海辺で過ごす週末を妄想

インターネットが日常に無い時代から、新聞の折り込み広告で不動産情報を見るのが好きだった。手の届かない物件を見ては、そこでの暮らしを妄想する。複数並んだ建売住宅の配置図を見ては、「角地のD号棟がベストだな」などとコスパをシミュレーションする。この“アイドリング状態”があったからこそ、買うべき時に物件を選べたと思う。
自分の家を持った時、会社の先輩に言われて「なるほど」と思った一言が、「2軒持てれば資本家の仲間入り」。話の趣旨としては、「僕も君も自分が住む分しか買えないのが残念だな(笑)」という自虐的な流れだったが、印象に残った。

中古車程度の予算で古家を買う

それからしばらく経ち、小さなセカンドハウスを海の近くに持ちたいと思うようになった。週末は子供たちを連れて海岸に降り立つ生活を送りたい。
熱心に調べ始めたきっかけは、山梨県の別荘地に新築した友人宅に招かれたことで、夏は避暑のため、冬はスキーのために東京から通うという。土地は借地なので費用は抑えめ。また別の友人は、サーフィンが趣味のご主人が、外房の海岸近くに土地付きの古家を「中古車程度の値段で」購入したという。時期が来たら手放す前提の、人生を楽しくするセカンドハウス。結果的に、貯金より良い投資になることもある。
小さな子供を抱えて、目先のローンと教育費の重圧に耐えながら、不動産情報をチェックするのは、現実逃避の楽しい時間でもあった。「土地(古屋有)なら?」「昭和のマンションなら?」「ハザードマップにかかる立地なら?」と、奥の手まで検討を重ね、やがてマイブームは下火になっていく。
そうこうするうちに子供たちが成長して、塾通いやら部活やらで多忙になり、週末を一緒に過ごす時間も減った。“親より友達”時代の到来だ。それも経たうえで、コロナ禍終わりに何度目かのセカンドハウスブームが到来する。その話は次回。

セカンドハウス①