~家の記憶エッセイ~ 住まいと棲み家とお宅とアジト
住まいにまつわるショートストーリーをお届けします。
日々の、日常の、住まいと家族のこと。
朝のコーヒーを飲みながら、通勤電車の中で、煮物が煮あがる待ち時間、就寝前に。
インテリアやインタビュー記事を執筆しているフリーライターによるコラムです。
壁紙の黄ばみが落ちない!最初にリフォームしたのはトイレ
白いモルタル塗りの外壁に、黒い雨筋やヒビ割れが気になりだしてから何年も経つ。これは来年か再来年にきっと着手します!ごめんなさい!…と、誰に対してか(家?)わからない謝罪をして今年も年末を迎える。やるべきこととやりたいことが合致するとは限らないのがリフォームで、我が家は目先の見栄えや“家事ラク”を優先した、たぶんダメな例だ。
豪快に使うなら掃除もセットで
最初にやったリフォームはトイレ交換だった。息子3人含む男4人が立って用を足す家族なので察してほしい。男子に座らせるかどうか問題、私は特に考えもなかった。トイレトレーニング中はオムツからおまるへ、おまるからトイレに踏み台を置いて、という具合にどんどんラクになるからその進化が嬉しくて、トイレで立って用を足せたら盛大な拍手をしてほめたものだ。三男がオムツを卒業した時は「やったー!」と踊りだしたいぐらい最強の気分だったが、しかし。どこをマトにしてるんだかっていうぐらい汚れるのは便器だけでなく床も壁もで。便器横の白いクロスにできた丸い黄ばみは、新築から5年も経つとゴシゴシこすっても落ちなくなった。
…思えばトイレ交換は、頻繁に掃除しても報われない、やる気を失くす寸前の自分へのエールみたいなもので、故障や水漏れなど機能的な問題はなかったのだ。リフォームして新しくなった便器はもはや家電!機能性向上もあって、掃除の頻度も時間も驚くほど短縮された。泡が自動洗浄してくれるなんて夢みたいで、掃除しなくてもきれいな状態がしばらく続く幸せ。あー、このリフォームはしてよかった、と何年も経った今でも思う。ただし今から子育てするなら座ってさせるかなー。3人息子の未来の嫁たちに申し訳なかったかな。それまでにトイレ掃除男子を育成しておきたいと思います。
~本コラムの筆者プロフィール~
葉山 郁子 (はやま・いくこ)
ライター。東京都生まれ。子供時代に家族と首都圏を転々とした後、神奈川寄りの都内に定住。
大手出版社で複数の編集部と雑誌創刊を経験。
現在はフリーでエンタテインメント分野、インテリア関連の記事を中心に執筆。
大学院生、大学生、中学生の3人息子の母。