~家の記憶エッセイ~ 住まいと棲み家とお宅とアジト
住まいにまつわるショートストーリーをお届けします。
日々の、日常の、住まいと家族のこと。
朝のコーヒーを飲みながら、通勤電車の中で、煮物が煮あがる待ち時間、就寝前に。
インテリアやインタビュー記事を執筆しているフリーライターによるコラムです。
風呂上がりに着衣で出て来られる
脱衣所の収納棚が便利すぎた
家づくりの最終段階で追加したもののなかで、実は最大のヒットかもと思うのが脱衣所の収納棚だ。我が家の脱衣所兼洗面所はユニットバスの手前にある2m弱×1mほどのスペースで、トイレより狭いこの場所に洗面台がある。脱いだ服を置く場所にも難儀するのだが、それでも壁面をくり抜いて無理やり作ってもらったのが家族全員の下着を収納できる扉付きの棚だ。インテリアの仕事をするママ友から「脱衣所に下着収納があると便利だよ」と聞いたことがきっかけだった。
洗濯後にワンストップで片づく
収納棚の戸を開けると、各自の下着上下を入れた記名付きプラボックスが並ぶ。洗濯後の下着を私がポイポイと投げ込むのだが、全員分がワンストップで済むからかなりの家事ラクになる。入れ間違えたら誰かが修正してくれる。サイズの似通った男4人の下着は判別が難しいのだ。家族は風呂上がりにタオルドライからのパンツ、シャツ着用で脱衣所を出てくる。元気よく裸で飛び出すのもありだが、我が家のリビングは窓が大きくて夜なら外から丸見えだ。子供が小さい頃は慌ててブラインドを閉めることも多かった。
ちなみに脱衣所の壁面をくり抜いた裏側はリビングの作り付けの本棚で、リビング側から見ると一部が逆側にとられて板でふさがれている。本棚には扉付き収納が3カ所あるので、4カ所目の扉付き収納に見えるデザインにうまいこと仕上げてもらった。もちろんスペースに余裕があればこんな小細工をする必要はなく、本棚はすべて本に使い、脱衣所に下着タンスを設置すればいい。ただ、一見して白い壁に見えるスッキリ感がありながら、その奥に取り出しやすくて仕舞いやすい下着収納を確保できたことが嬉しい。主婦目線で言えば毎日嬉しい。蔵書を減らしても家族のパンツ、である。
~本コラムの筆者プロフィール~
葉山 郁子(はやま・いくこ)
ライター。小学校時代に4回転校するなど引っ越し好きの母と首都圏を転々とした後、神奈川県寄りの都内に定住。大手出版社で複数の編集部と雑誌創刊を経験。現在はフリーでエンタテインメント分野の記事を中心に執筆。社会人、大学生、高校生の3人息子と夫の5人世帯に加え88歳の母と二世帯同居している。