~家の記憶エッセイ~ 住まいと棲み家とお宅とアジト
住まいにまつわるショートストーリーをお届けします。
日々の、日常の、住まいと家族のこと。
朝のコーヒーを飲みながら、通勤電車の中で、煮物が煮あがる待ち時間、就寝前に。
インテリアやインタビュー記事を執筆しているフリーライターによるコラムです。
増え続けるXXLサイズ服の“圧”
高感度でも無頓着でも母は気になる
次男が珍しく自分で靴を洗っている。真っ白な厚底スニーカーを白いまま履きたいという。先日はTシャツのシミ抜きを頼まれ、キツネマークをこっそりググって値段に驚愕したばかり。バイト代をファッションに投下する次男は昔からおしゃれだ。髪をツーブロックにしたりアクセサリーをつけたりは4歳上の長男より早かった。ダボッとしたXXLサイズの服を好むからすぐに洗濯機がいっぱいになる。厚手のフーディでそのサイズは勘弁して。次男いわく、友人たちに比べたら自分は全然おしゃれな部類に入らない、だそうだ。はいはい。自分のバイト代だしダサいよりいいか、とも思うが服は増える一方で捨てられず、整理整頓も苦手な点が私に似ている。
片づけ上手なジャージ派三男
長男の私服はごく普通(母目線)で次男に比べたら服にかける情熱も予算も低め。もう着ないと思ったら未練なく捨てるあたりは、1つ買ったら1つ捨てる主義の夫に似ていて、両者とも収納には常に余裕がある。サッカー少年の三男はさらに意識低めで基本はジャージ。高校の制服以外はスポーツウェアだから服を欲しがらない。スパイクはニューモデルが欲しそうだが母の圧を感じて型落ちに流れるのが常。「おかたづけ名人だね」と誉めそやしてきた三男の部屋はいつもすっきり片付いていて、パーティションの向こう側で足の踏み場もなく過ごす次男とは雲泥の差だ。同じ家で育ってきて何が違ったのだろう。
このコラム初回で「長男、間もなく独立か」と書いたが実はまだ家にいる。研修が長くリモートも多いので独り暮らしは先延ばしになった。平均身長181cmの3人がギューギュー詰めの3階子供部屋フロアはかなり汗臭い。シーツや布団カバーの洗濯は「出した人優先」だから出さない部屋はますます臭い。
~本コラムの筆者プロフィール~
葉山 郁子(はやま・いくこ)
ライター。小学校時代に4回転校するなど引っ越し好きの母と首都圏を転々とした後、神奈川県寄りの都内に定住。大手出版社で複数の編集部と雑誌創刊を経験。現在はフリーでエンタテインメント分野の記事を中心に執筆。社会人、大学生、高校生の3人息子と夫の5人世帯に加え88歳の母と二世帯同居している。