相続税はほとんどの方は発生しませんが、発生する場合、「相続税ってこんなにかかるの!?」と驚く方も多くいらっしゃいます。しかし相続税は準備次第では節税しやすいといわれており、ケースによっては納税額をゼロにすることも可能です。この記事では、一般的によく用いられる相続税対策とその効果について解説していきます。
相続税対策の考え方とは
相続税対策には、下記のとおり大きく2つの考え方があります。
1.節税対策(税金を安くすること)
贈与や財産の評価額を減らすなどして財産のボリュームを小さくし、税額を抑える考え方です。相続税対策と聞いて多くの方が考えるのはこちらの方法ではないでしょうか。
2.納税資金対策(相続税を収めるお金を用意すること)
相続税は原則現金での一括納付を求められるため、納付期限(相続があったことを知った日から10か月以内)までに納税資金を用意しておく必要があります。例えば相続財産が不動産のみだった場合、税金を払わなければならないのに現金が用意できない!という事態も考えられますので、あらかじめ資金面での準備もしておくべきでしょう。
相続税4つの対策
相続人を増やし、税率を下げる
相続税は法定相続人が増える毎に基礎控除が追加されますので、相続人の数を増やすことで全体の相続税を減らすことができます。そのために有効なのが「養子縁組制度の活用」です。
※法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、一定数に制限されています。
所有財産の評価を下げる
土地や建物は、利用状況に応じて評価を下げることができます。
賃貸用建物の建築で更地評価から貸家建付地評価へ評価減する。(固定資産税の軽減もあります)
相続した居住用や事業用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)により、宅地の一定面積について50%~80%の評価額の減額を利用する。
農業経営のために耕作可能な農地は、要件をクリアの上、納税猶予を適用する。
財産を生前贈与して減らしておく
自分の名義の財産は、当然ながら相続税の課税対象になります。そのため、財産を手放すことで相続税を下げることができます。
年間110万円までの基礎控除を使い、毎年相続人や孫に現金、預貯金を贈与する。
20年以上婚姻期間のある夫婦間で居住用不動産またはそれを取得するための金銭を贈与し、110万円+2,000万円の合計2,110万円の控除を受ける。
土地・建物については、何回かに分けてその全部または一部を持分贈与する。
相続時精算課税制度の特別控除額や住宅取得等資金に係る贈与税非課税枠をうまく活用する。
納税資金として生命保険を活用
様々な相続税対策を行っても、相続税がかかる場合もあります。そのための納税資金を生命保険で用意しておくことができます。
生命保険金の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)を利用する。
死亡によって必ずもらえる大口の終身保険に加入する。
注意 相続税に関連する法律は改正が頻繁に行われますので、詳細はかならずご自身でご確認ください。
どのような対策が有効かはケースバイケースです。ご自身での判断が難しい場合は、専門家にアドバイスをもらうのがよいでしょう。
監修
トラスティ藤沢司法事務所
代表司法書士
山脇 和実
(神奈川県司法書士会 登録番号1842)
宮川めぐみ税理士事務所
代表税理士
宮川 めぐみ
(東京地方税理士会 登録番号113089)