~家の記憶エッセイ~ 住まいと棲み家とお宅とアジト
住まいにまつわるショートストーリーをお届けします。
日々の、日常の、住まいと家族のこと。
朝のコーヒーを飲みながら、通勤電車の中で、煮物が煮あがる待ち時間、就寝前に。
インテリアやインタビュー記事を執筆しているフリーライターによるコラムです。
今困っているのはこれだった!
追加で解決できた気になりゴトたち
足場設置から撤去まで約3週間、雨が多かったわりには外壁・屋根のリフォーム工事が順調に進んだ。目的は「美化より家の耐久性」と頭でわかっていても、19年前の入居時のように真っ白な外壁がよみがえれば心は躍る。植栽の新芽と白い壁の組み合わせは最強だから、汚れが目立つと知りながら、今回も白い塗料を選んでしまった。
ちなみに隣家は経年劣化を感じさせないレンガ風の外観で、「それが賢い選択だったかも」とちょっぴり後悔した日もある。でも塗りたての今だけは、まばゆい白の選択でよかった、と満足感を噛み締めていたい。
リフォームあるあるかも?
一方で、1つピカピカになると古いものが余計に薄汚れて見えるのもまた事実で。風雨と日射しで下側がパリパリにひび割れした木製玄関ドア。サビの流れ出した筋が目立つベランダのコンクリート。風で扉がパタパタ開いて手紙が飛び出してしまう郵便受け。力づくで回してピンが折れ曲がった輸入窓の開閉ハンドルなどなど、手を入れたいところは増えていく。
「これも新しく交換しないとだめですかね…」。独り言とも相談ゴトともとれる中途半端なつぶやきから、私の不満具合を読み取り、ソリューションにつなげてくれるのが工務店社長。パタパタ扉の郵便受けには、ある日小さなフックが取り付けられていた。丸ごと交換を覚悟したのに、一瞬にして課題解決してくれるとは! 窓の開閉ハンドルは在庫品を白く塗装して安く譲ってくれたので、メーカー取り寄せ見積額の半分以下で済んだ。
なんだか、便利屋さんみたいにあれこれやっていただいて恐縮です、と思いつつも、持続する関係性が嬉しい。次の工事もお願いしようと思うのは、小さなおトク感の積み重ねに私が弱いだけかもしれないけれど。
~本コラムの筆者プロフィール~
葉山 郁子 (はやま・いくこ)
ライター。小学生時代に4回転校するなど引っ越し好きの母と首都圏を転々とした後、神奈川県寄りの都内に定住。大手出版社で複数の編集部と雑誌創刊を経験。現在はフリーでエンタテインメント分野の記事を中心に執筆。社会人、大学院生、高校生の3人息子と夫の5人世帯に加え89歳の母と二世帯同居している。