ご相談者あつこさん
50歳 夫・子22歳
アドバイス松本さん
小田急不動産
子育てが一段落した~と思っていたんですが、今度は実家のことで心配が出てきました。親も高齢なのですが、実家には物がたくさんあって・・・。親に一緒に片付けようと声をかけてもなかなか取り掛かれずイライラしています。きっかけ作りになにか良い方法はないですか?
ご実家の親御さんのお片付けや、ご実家の家自体をどうしようというお悩みはとても多いですね。始めるきっかけがつかめない、どう切りだして良いか迷ってしまうという方もおられるようです。
片付けが進まないままにいると、後になって物理的・金銭的な負担になったり、なにより後悔するかも・・・と子世代としては気が気ではありません
親が元気なうちに少しずつでもコミュニケーションを取りながら整理を進めていけたら良いですよね。 生前整理の始め方や声のかけ方にも、ちょっとしたコツがあるようです。
生前整理アドバイザー認定指導員/村上充恵先生にお話をうかがってみましょう!
まず、なぜ親の家にはモノが多くなかなか片付かないのか、から探ってみましょう
そもそも、どうして親の家はモノが多く、親はモノを捨てることに抵抗があるのでしょうか?
親の「なぜ」がわかると、気持ちを理解しながら「生前整理」を進めることができますよ!
親がモノをため込み、捨てない理由5つ
「モノがたくさんあることが豊かで幸せ」な時代を生きてきたから
親が働き盛りの高度成長期は、モノを手に入れることが豊かさの象徴であった時代。「たくさんのモノに囲まれているのが幸せ」と感じる人が多いのです。あまり片づけすぎると、心身に不調をきたす場合も・・・子世代の考えるスッキリ空間と、親の幸せ空間は違って当たり前なのです。
「もったいない!」 モノを捨てることに罪悪感があるから
戦後のモノのない頃に子供時代を過ごした方も多い親世代、「モノを大切にしなければ」は身をもって体験しています。 まだ使えるものを捨てる」ことに強い抵抗があるので、買い取りやオークションなどで売る、リサイクルや寄付などで譲る、など「捨てる」以外の方法を提案し、手伝いましょう。
モノにはたくさんの思い出がつまっているから
ガラクタに見えても、親世代にとっては自分や家族にまつわる大切な思い出の品かもしれません。
まずはそのモノにまつわる思い出話をたくさん聞いてあげて。それだけで安心納得してモノが手放せる場合があります。 とっておきたい思い出の品は、目立つように飾る、「思い出箱」に保管するなど、大切にしてあげましょう。
歳を重ねると、気力や体力・モノの管理力が衰えるから
「もう、このままでいいのよ・・・」というセリフがでたら、要注意。 やる気が続かない、すぐ疲れる・・・に加えて、加齢とともに認知機能の衰えからモノの管理能力が低下してくるので、収納場所を忘れたり、ゴミの分別があやふやになったり・・・これもモノが停滞する原因になっています。
また、心身の調子にも波があることを忘れずに。 子世代が親のペースや気持ちを思いやることで失敗を避けられます。
実は、子供たちに主導権を握られるのが辛いから
これは気持ちの問題ですが、親世代はいつまでもしっかりしていたいもの。モノの片付けに限らず、子世代に口うるさく言われるのは、歳を重ねた自分の「衰え」を指摘されるようでとても辛いのです。抵抗や衝突を避けるために、プライドが邪魔して素直になれない親世代に寄り添ことを心がけながら、うまくポジションチェンジをしましょう。
親に感謝の気持ちを忘れず、「理解したい・手伝いたい」という思いを言葉にすること。 「親と一緒に生前整理」すると、親の暮らしが快適になるだけでなく、親子の最高の思い出になりますよ!
プロの方にお話を伺うだけで、いままでモヤモヤイライラしていた気持ちが少しホッとしますね。
このページだけではまだまだ語りつくせない生前整理について、次回以降村上先生の連載コラムをスタートする予定です!どうぞご期待ください。
~本コラムの生前整理パートの筆者プロフィール~
村上 充恵氏
ル・リアン横浜代表。生前整理コンシェルジュ。セミナー、相談会などを通じて生前整理メソッドをわかりやすく伝える活動をしている。生前整理普及協会アドバイザー認定指導員。